2008年 06月 02日
マダム・シルヴィー 4月の料理教室 |
大変お待たせしております。
もうすでに6月になってしまいましたが、4月の教室のレポートです。
4月といえば1日にエイプリールフールがありますが、フランスではPoisson d'avril(ポワソンダブリル、四月の魚)といわれています。軽いいたづらで嘘をついてもいい日なわけですが、その日に4月第一回目の教室が開講されました。
とくにフランスの幼稚園や小学校では魚の絵を切り抜いたものをこっそりと狙いをつけた人の背中にはり、クスクスと笑い声とともに気づかれたら”ポワソンダブリル”と大声でしてやったりと叫ぶのが伝統行事?になっています。
シルヴィーとピエロ夫妻の背中にお魚が、、、。
そして我が教室でもミナコさんの企みで、まんまと魚をつけられました(笑)
もちろん、私もやられました。
そして4月といえばパック(復活祭)の行事も欠かせませんが(今年のカレンダーでは3月でしたが)、パックの料理といえばやはり羊の料理。
じっくりととろ火で煮込んだ子羊のタジンを紹介してもらいました。
こちらが子羊のお肉です。主に骨付きの肩肉を使いますが、適当な大きさにお肉屋さんでカットしてもらうようです。
タジンとはモロッコのお料理で、フタの先がとんがった土鍋のことをさしますが、この鍋で蒸し煮にしたお料理をタジンとよんでいるようです。
シルヴィーが紹介してくれたのは、ココットでじっくりと煮込み、春野菜をたっぷり盛り込んだフランス風のタジン。このタジン鍋は盛りつけに使いました。
まずはタマネギ、シナモンスティック、ふたつに裂いたバニラをいためます。
すでにスパイスの香りが漂います。
お肉を加えてさらに炒めたところに、ハチミツと写真のオレンジフラワー水を加えます。オレンジフラワー水とはオレンジの花を二日間ほど乾燥させてから蒸留し、エッセンスを取り出したものだそうですが、マグレブ料理の香りつけには欠かせないものだそうです。
さらに水を加えて、ふたをしてトロ火で2時間蒸し煮します。
その間に春野菜の下準備。
そのときによって手に入った春野菜を使いました。
手前は平らのインゲン、右は普通のインゲン、奥がサヤがついた状態のそら豆です。
さやをとりのぞいた状態のそら豆は軽く茹でておきます。
アーティーチョークはキク科の多年草だそうで、日本ではチョーセンアザミとよばれていますが、欧米では野菜として扱われています。私はフランスに住むようになって大好きになった野菜のひとつです。鉄分も豊富で女性には大変よいそうです。
こちらはグリンピース。サヤから取り出したら、圧力鍋でさっと火を通します。
参加者の方々とアトリエ。皆さん黙々と作業に集中していました。
すでに1時間半たったココットの方に戻って、ドライアプリコットを加えます。
さらに生のままのたっぷりのインゲンを肉の上にかぶせます。
緑とオレンジのコントラストがなんとも美しく、、、。幸せな気分になってしまいます。
アーティーチョークを入れる場合は、インゲンよりも先にいれます。
グリンピースは味を馴染ませる程度に、最後にいれます。
野菜に火が通ればできあがり。
そら豆は鍋にいれず、別にしていただきます。
タジンの煮込みの時間の間にデザートのタルト・タタンをつくります。
タルトタタンといいえばリンゴですが、シルヴィーが紹介してくれたのはマンゴーのタルトタタン。
大降りのものはペルー産で、
小降りのものはマリ産のマンゴー。甘さのなかにほのかの酸味を感じるペルー産のほうが、マンゴー独特の風味があるように思いました。
まずはタルト皿に赤糖とバターを入れてオーブンに入れて溶かし、時々木べらでかき混ぜながらキャラメル状にします。
その間にマンゴーを刻み、タルト皿に並べます。
そしてハーブのローズマリーを加えるのがポイント。
この日はマンゴーの形も揃い奇麗に並びました。
こちらはパット・ブリゼ(pâte brisée)と呼ばれる生地の材料です。
この生地にもローズマリーの葉を混ぜ込みます。
ブリゼ=壊れるという意味のごとく、薄くのばしたのはいいものの、生地をタルト皿にのせるのに悪戦苦闘。
オーブンシートを駆使して、なんとか生地をのせました。
隙間があるところは余った生地で埋め込むというかんじでした。
お菓子作り初心者でもできるかも、、、と思わせる瞬間でした。
焼き上がりです。
ひっくり返すのがタルト・タタンの醍醐味。
タタン姉妹が生地敷かずにリンゴを先にいれてしまい、後から生地をのせひっくり返したら美味しかったという失敗から生まれたお菓子なのだそうです。
皆さん皿からタルトが外れる瞬間をカメラに納めようと必死でした。
かくゆう私もですが、、、。
この色つや、、、美味しそう〜がこだましていました。
残るは前菜のチーズスフレ。
スフレというとなにか特別な料理を想像してしまいますが、れっきとした家庭料理のひとつです。
できたてをいただかないとどんどん沈んでしまい、サービスのタイミングが難しいため、専門店こそありますが、レストランではあまりポピュラーではないそうです。
まずはベシャメルソースをつくります。日本ではホワイトソースとも呼ばれています。
バターと小麦粉を焦がさないように木べらで混ぜます。
牛乳をたっぷり加えてのばします。
まったりと濃いめのソースをつくります。
グイエール・チーズを加えます。
お好みの他のチーズを加えてもおいしくできるそうです。
たっぷりとナツメグがはいりました。
粗熱がとれたら、卵の黄身とあわだてた白身をふわっと混ぜ合わせます。
膨らむことを計算して、スフレ型の6、7分目まで生地を入れます。
150°のオーブンで45分間じっくりと。
こちらが見事に膨らんだチーズスフレです。
真横からみたスフレです。
スフレの完成とともに会食がはじまりました。
とにかく出来立てを食べなければ美味しさ半減ということで、シルヴィーは一目散にテーブルに。テーブルに着いたときもすでに、沈みはじめていました。
サラダとともにいただきます。
口のなかでとろっと溶けて、ナツメグとチーズの香りがきいていました。
乳製品が好きな方にはたまらない一品です。
今は滅多に作る事のないスフレだそうですが、シルヴィーの息子さんがまだ小さい頃は子どもたちが喜ぶメニューのひとつだったそうで、よく作ったそうです。
じっくりと煮込んだメインはタジン鍋に移します。
スープ鉢にスムールを入れ、同量の熱湯で蒸したものを付け合わせに。
子羊はとても柔らかくて、羊の独特の臭みもほとんど感じられないほどです。
野菜もたっぷり入って、想像以上にあっさりとやさしいお味でした。
そのあっさり感は、モロッコの家庭でごちそうになったクスクスを想起させるほど。
そしてデザートのマンゴーのタルトタタンはちょっと酸味のあるクレーム・フレッシュを添えて。
ローズマリーの香りとマンゴーの酸味、赤糖の甘みが口一杯に広がってきました。
参加してくださった方からすでに試してくださったといううれしい知らせがありましたが、マンゴーの量の加減がなかなか難しいそうで、あまり多いとオーブンの中で吹きこぼれることもあるので要注意だそうです。
4月の教室は4回も開講することができました。
ご参加くださった皆様に感謝申し上げます。
パリの在住者の方に加えて、ブログでもお知らせしたユーロパンにスタッフとしてご参加された森本さん親子にアシスタントの細口さんや、フランスの地方からやロンドン、オーストラリアからもいらしてくださいました。この月は殿方のご参加も4人でしたが、もっとたくさんの男性が参加してくださるといいな〜と思っています。
遅れに遅れておりますが5月、6月の様子も必ずアップ致しますので、辛抱強くお待ちください。
そして、7月のメニューは落とし卵の赤ワインソースと夏の定番、野菜のファルシー、夏のフルーツのクランブルです。
8日(火)は開講が迫っておりますが、まだお席がございますので、ご参加されたい方はenrichirparis@hotmail.comまでお気軽にどうぞ。
皆様のご参加心よりお待ち申し上げております。(キ)
by enrichirparis
| 2008-06-02 19:38
| 教室のレポート